社内システムクラウド化の意外な課題

社内システムクラウド化の意外な課題

近年、クラウドは幅広く浸透しており多くの企業に利用のシステムにされてきています。
これまでクラウドといえば、携帯ゲームなどを始めとするネット系企業のWebシステムでの利用が主流でした。しかし、ここへきてこれまで利用が進んでいなかった一般企業の情報システム用途などにもクラウドは浸透してきています。
社内システムのクラウド化は、メリットがある一方で、導入にはいくつかの課題があります。今回は、社内システムをクラウドへ移行する上でのメリットとその際の課題を整理します。
(2011年12月 掲載開始)

社内システムクラウド化の意外な課題

一般企業の社内システムの課題

企業の社内システムにおいては、どの企業も似たような課題を抱えています。近年社内のIT化がますます進み、その課題は拡大傾向にあります。

中堅企業情報システム部門のよくある現状

  • 少数のシステム管理者。他の業務と兼務なことも
  • サーバ台数は、数台から数十台
  • サーバの更新が後手に回っているためサーバは老朽化している機器がある
  • 構成は、すべてシングル構成。かろうじてバックアップはとっている

社内システムの課題

  • システムが増加する一方システム管理者は少人数のまま。運用管理負担が増加
  • 障害対応/障害復旧時間で困っている(例:サーバ障害時には、システムが半日停止)
  • 管理負担を下げるために、仮想化を導入したいが、人的労力・投資コストの問題から踏み切れない
  • 東日本大震災以降BCP(事業継続計画)対策も気になる(とはいえ、あまりコストはかけられない)

社内システムクラウド化のメリット

社内システム部門において、先に上げたようなシステム運用の課題を抱えている企業は多いと思います。これらの課題を解決するために社内システムのクラウド移行は検討価値があるでしょう。

社内システムをクラウドへ移行することによるメリット

  • システムのインフラをアウトソースすることにより、
    -労力のかかる物理サーバの管理から開放される
    -物理サーバ障害時の対応がなくなる。復旧時間が短縮できる
  • 投資コストがかからないため、スムーズな移行が可能
  • クラウドのインフラはデータセンターに設置されているため、電源供給や耐震性、サーバ環境などの面で、一般的なオフィスに比べて遥かに堅牢で、BCP対策にもなる

社内システムクラウド化の課題

このようなメリットがあるクラウドへの移行ですが、導入する際は実はいくつかの課題があります。これらの課題は、これまでクラウドで主流だったWebアプリケーションなどでは問題にならなかった、社内システム用途独特の課題といえるでしょう。

1.セキュリティの課題

多くの調査において、システムクラウド化のハードルの最初に来るのが「セキュリティへの不安」です。
セキュリティへの不安のうち一つ目は、「共用」への不安です。クラウドは、仮想化技術を利用して物理的なシステムを共用することにより実現しています。ただし、物理的にはシステムを共用していますが、論理的にはシステムを他のユーザと分離することは可能です。最近では、VLANなどの技術を用いて個々のユーザに対して他のユーザと切り離されたプライベートセグメントを利用できるクラウドサービスも増えています。

2つ目は、インターネットからの攻撃に対する不安です。外部からの攻撃に対して不安を抱かれる方は多いと思いますが、実はこれはクラウドに限ったことではありません。主要な対策は、オンプレミスシステムの場合でもクラウドの場合でも同様です。セキュリティ情報を入手し、OSのパッチなどをしっかりとあてていくことが重要です。

3つ目は、インターネット経由でのシステム利用に対する不安です。クラウドはオープンなインターネット環境から利用するのが通常です。しかし、これは企業で利用されている社内システムでは受け入れられないことが多いでしょう。対策としては、クラウドと企業の拠点をVPN網(閉域網)で接続する必要がでてきます。また、VPNの利用により、外部からの攻撃も防ぎやすくなります。

セキュリティの課題

2.クラウドと接続するネットワーク(VPN)の課題

クラウドのネットワークといえば、オープンなインターネット環境を利用するのが一般的です。一方、社内システムにおいては、遠隔地のシステムを利用する場合も一部のアプリケーションを除いて、インターネットをそのまま利用しないVPN網(閉域網)などを利用することが多いと思います。例えば、基幹システムを外部公開可能なサーバ上に設置することはなかなか受け入れられないでしょう。ここに検討が漏れがちな社内システムクラウド化のジレンマがあります。

しかし、最近はインターネットを経由せずに利用できるクラウド(閉域型クラウド)も増えてきています。システムクラウド化検討の際は、クラウドと社内のネットワーク環境についてもきちんと確認するようにしましょう。

クラウドと接続するネットワーク(VPN)の課題

3.システム移行の課題

「セキュリティ」や「ネットワーク」という課題をクリアしたあと最後に立ちはだかるのがシステム移行の課題です。社内システムをクラウド化する場合は、既存のシステムをクラウドへ移行することが多くなります。移行先のシステムを用意できるところまでは確認したものの、システム移行の手間や金額が大きすぎるためにクラウド化を断念する企業も多いようです。

ここで、意外とハードルとなるのが、PtoV(Physical to Virtual)と呼ばれる作業です。既存の物理サーバ(Physical)から仮想サーバ上のシステム(Virtual)へ移行する作業では、移行後の互換性を保つためにOSのバージョンやハードウェアの知識などが必要で専門的なノウハウが必要となってきます。

PtoV(Physical to Virtual)

まとめ

このように、いくつかのハードルがある社内システムへのクラウド化ですが、うまく活用できれば既存システムの課題を解決できる可能性を秘めています。導入検討時は、これらの点に注意しながらクラウド化の検討を行なってはいかがでしょう。

<社内システムクラウド化のメリット>

  • システムアウトソースで労力削減
  • 障害対策、BCP対策にも有効
  • 投資コストがかからない

<社内システムクラウド化の課題>

  • セキュリティの課題
  • クラウドと接続するネットワーク(VPN)の課題
  • システム移行の課題

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