サーバ仮想化導入のジレンマ

サーバ仮想化導入のジレンマ

VMwareをはじめとするサーバ仮想化ソフトウェアが、近年急速に普及しています。
さまざまなメリットがあるサーバ仮想化ですが、企業への本格導入には思わぬハードルがあります。
(2011年6月 掲載開始)

サーバ仮想化導入のジレンマ

サーバ仮想化導入のジレンマ

IDC Japanによると、2010年の仮想化サーバ出荷数は、前年比20%以上増加した約8万台となっています。また、2014年には、約14万台と、今後も、毎年2桁の高成長を維持する見込みです。
このように、サーバ仮想化は、企業において確実に普及してきています。なぜこれほどサーバの仮想化が普及してきたのでしょうか?

出荷台数(台)

出典:IDC Japanプレスリリース「国内仮想化サーバー市場予測を発表」2010年10月
※2009年は実績、2010年以降が予測
※「仮想化サーバ」とは、仮想化環境を構築するために出荷されたサーバ

サーバ仮想化の導入メリット

サーバの仮想化は、1つの物理サーバの上に仮想的に複数のサーバを動作させることで、サーバの集約を実現できる技術です。主な、サーバ仮想化ソフトウェアの導入メリットには、大きく以下の3つがあげられます。

(1)コストの低減
コスト低減のポイントは大きく2つあります。一つは、サーバ集約によるサーバの投資コストの低減。もう一つは、運用コストの低減です。前者に注目が集まることが多いですが、仮想化ソフトウェアを利用したメンテナンス性の向上による運用の手間の削減も大きなポイントです。

(2)柔軟性の向上
2つ目のポイントは、柔軟性です。一度仮想化ソフトウェアを導入してしまえば、(リソースが余っている限りは)サーバ新規購入の必要なく、すぐに新しいサーバを用意することができます。これまで、1,2ヵ月かかっていたサーバの調達が、数分から数時間程度で済むようになります。

(3)可用性の向上
また、可用性の向上も見逃せません。システムの構築方法にもよりますが、仮想化ソフトウェアはHAなど各種の可用性を上げるための機能(VMware vSphereでは、VMwareHAやvMotion)を持っています。これらを利用することにより、システム全体のダウンタイムの削減が可能となります。

サーバ仮想化の導入メリット

このようにサーバの仮想化には、さまざまなメリットがあります。ハードウェアの性能向上も相乗効果となり、以下のグラフのように普及率が2010年で約15%、2014年には約25%と4台に1台ものサーバに仮想化が導入される見込みになるなど本格的な普及期に入ってきています。(右図参照)

さて、サーバ仮想化が本格的に普及するとどのようなことが起こってくるでしょうか?
これまで、サーバ仮想化を導入する企業は、一部の先進ユーザのみでした。また、すでに導入している企業でも、影響が小さい一部のシステムでのテスト的な利用や開発環境など、特殊な形態での利用などが目立っていました。
しかし、これから本格的な普及期に入ると、一部のシステムにとどまることなく、基幹系などの重要なシステムにもサーバ仮想化が導入されるようになってきます。

仮想化比率(%)

出典:IDC Japanプレスリリース「国内仮想化サーバー市場予測を発表」2010年10月
※2009年は実績、2010年以降が予測
※「仮想化サーバ」とは、仮想化環境を構築するために出荷されたサーバ
※仮想化比率とは、国内サーバ市場全体のサーバ出荷台数に占める仮想化サーバの比率

サーバ集約の光と影

さて、コスト面などメリットの多いサーバ集約ですが、導入においては注意すべき点もあります。

それは、障害時の影響です。これまでは、1台のサーバ障害の影響を受けるのは、1つのシステムだけでした。しかし、仮想化によりサーバ集約を行う場合、1台のサーバに障害が起きると、集約したすべてのシステムがダウンします。
つまり、サーバの集約が進めば進むほど、1つの機器の障害の影響が多数のシステムへ及ぶことになります。

仮想化前(集約前) 1つの機器の障害が1つのOSへ影響 仮想化 仮想化後(集約後) 1つの機器の障害が全体へ影響

サーバ集約の光と影

現在、サーバ仮想化が本格的に浸透し、可用性の要件が高い重要なサーバにも導入されてきています。このようになってくると、仮想化インフラの物理的な機器自体にも高い信頼性が求められるようになります。
そのためには、仮想化インフラ自体を冗長化して構築する必要がでてきます。具体的にはどのようなシステムが必要になってくるでしょうか。

(1)サーバの冗長化
サーバ障害に備えるため、サーバ冗長化(複数台での利用)が必要になります。 Server Server Server

(2)ストレージの導入
次に、予備系サーバでも、同じデータを利用できるようにするためには、ストレージの導入が必要になります。 Server Server Storage

(3)ストレージの冗長化
すると、今度は、ストレージの障害が気になります。(ストレージ冗長またはバックアップが必要) Server Server Storage Storage

サーバ、ストレージ、だけでなく、ネットワーク機器部分の冗長化など考えるべき要素は他にもまだまだあります。このように、サーバ仮想化をテスト導入から本格的導入に移行するには、インフラ面で多くのことを考慮しなければなりません。これは、一般企業にとって、導入における大きなハードルとなっています。

仮想化導入のジレンマ

[ユーザの期待値]
システムの規模に比例して、コスト(構築および運用の労力や購入費用など)が上がっていく。
[実際のコスト]
本格導入を考えると、小中規模の導入でも大きなコスト(構築および運用の労力や購入費用など)がかかる。

大 コスト 小 実際のコスト ユーザの期待値 期待値と実際のずれがある領域=仮想化導入のジレンマがある領域 小 システム規模 大

このように、仮想化(仮想サーバ)を導入する際、特にシステムが小規模から中規模の領域においては、ユーザの期待値と実際の労力やコストにギャップが存在しています(仮想化導入のジレンマ)。

このような、仮想化導入におけるジレンマのせいで、本格導入に二の足を踏んでいる企業も多いのではないでしょうか。

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